概要
LINK 共同研究プログラムは、離散プロット、コンター図、ヒストグラムを使ってデータ解析を行うためにPV-WAVEを利用しています。この解析は、震動によって導かれる速度、およびそこから導かれる区間速度について、その精度と信頼性をより良く理解するために行われます。
最終的な結果は、地下構造の理解や炭化水素燃料の探索に役立っています。
課題
炭化水素燃料の開発および現地評価において、地下構造の情報を第一に提供してくれるのは地震探査です。震動記録は時間に関するデータであるため、時間にもとづく解釈を地中モデルと結びつけるために、地中を伝わる信号速度について仮定が作られます。しかし、地中の速度を推定する現在の方法では精度に限界があります。
イギリス貿易産業省のOil and Gas projects and Supplies Office(OSO)と自然環境研究会議(NERC)の出資による共同研究プログラム「LINK」の一環として、Scott
PickfordはロンドンのImperial Collegeと協力してこの問題に取り組んでいます。
プロジェクトでは、開発環境としてPV-WAVEを使用しています。理由は、そのハイレベルのグラフィック分析機能です。開発チームには石油物理学者もいればプログラマもおり、PV-WAVEを使用する度合いはそれぞれ異なります。しかし関係者はみな、PV-WAVEなどの4GLを使用しなければシステム開発の大部分は成り立たないと口をそろえて言っています。1995年末時点で、IC2とGather
Snapperという2つのシステムが完成しています。現在、Minervaという後継システムを開発中です。
1995年末に「IC2」と「Gather Snapper」のプロジェクトが完了すると、業界のスポンサー(British Gas、Elf、Enterprise、OMV、およびGeco-Prakla)は、プロジェクト期間中に開発した方法にもとづいて十分に設計されたソフトウェアパッケージと北海南部のガス田の詳細な構造に関するデータセットを受け取りました。さらにこのソフトは、市販されることになっています。
ソリューション
3年間のプロジェクトの間、いくつかの重要なマイルストーンを達成しました。
Imperial Collegeにおける2年間の研究プログラムにより、インタラクティブクラスタリングと多変量属性解析を行う機能十分のソフトウェアパッケージの試作品が、無事に完成しました。このソフトはもともと地震データを対象に開発されたものですが、実際にはあらゆる多変量データセットを扱うことができます。
データはPV-WAVEで解析し、動的にリンクした散布図、等高線図、ヒストグラムなどを活用します。一つのウィンドウ内で複数の地域が強調表示でき、対応する点が他のウィンドウ内に表示されます。すべての図はリンクしており、多変量データセットの構造探索用の強力なツールとなります。
ユーザーは、地震データセットを地理的な地平線に対応する複数の時間ウインドウへとさらに分割でき、沿広範囲の属性を計算することができます。
交跡、離れ岩、最大コヒーレンス積重ね速度の生データ、および移送したデータを含む、地域の鑿井検層・地震データベースが作成されました。検層データを扱うルーチン類が完成し、今後「検層データ解析環境」に組み込まれます。また、Discrete
Wavelet Transformを経由する井戸ベースの地震領域どうしのリンクが開発されることになっています。
この方法では、震動によって導かれる速度、およびそこから導かれる区間速度について、その精度と信頼性を理解することがきわめて大切です。したがってGather
Snapperでは、地震データで観測される事象の形状を検証し、そこから種々の方法で速度を求めるようになっています。地震データから得られたRMS速度を用いて区間速度を求める過程で発生する誤差の程度や誤差伝播の数学について、研究がなされています。これは、未移送の時間領域、移送された時間および深さ領域の間でデータ転送ができるレイトレーシングルーチンによって行われます。
ソフトの最終段階では、プロジェクトを通して開発した各種ソフトウェアパッケージどうし、あるいはそれと業界標準の他の写像パッケージとをリンクする作業がもっぱら行われました。さらに、スポンサーの石油会社のデータベースとの接続作業が実施されました。
Scott PickfordのプロジェクトリーダーChristopher Shelt氏は、プログラマーではありません。彼は石油物理学者ですが、コンピューターを使用した問題解決に熱心に取り組んでいます。Shelt氏こそ、試作レベルのMinervaシステムをPV-WAVEで開発した人です。このシステムは、ワイヤーラインによる検層や岩芯のデータを、確率や決定論の各種数学テクニックを使用して成分岩石や流体体積について分析するものです。Minervaは、DTIの後援を受けて試作品から商用システムに格上げされることになっています。提供されるソフトは、他の石油物理学者たちに有用な分析ツールとなるでしょう
Minervaは、各測定値の有効性とそれが結果に与える影響を調べるためのものです。通常、一連のモデルが順番に適用されて結果が出ます。それぞれの結果は、油井をめぐる複数の石油物理学的環境に対して適したものとなります。それ以外の用途としては、パラメーター選択の微調整、個々のモデルによる結果の統合、結果とベンチマークの比較、などがあります。
Scott PickfordではすでにMinervaを社内で使用しており、良好な結果を得ています。Skelt氏はこのシステムを自分のプログラミングチームに譲り渡し、さらなる改良を行っています。Skelt氏は語ります。「Minervaは、石油物理学者が石油物理学者のために開発したという点に特徴があります。PV-WAVEを使ったことで、自分の知識を解析ツールに活かしながら、実用システムがその場その場でインタラクティブに開発できました。そして、この実用的な核心部分を社内の開発者たちにもっと磨いてもらえるまでになりました」
Scott Pickfordのチームでは、石油物理学的作業の論理フローに従うようなMotif®のGUIを追加したいと考えています。さらに、業界の標準的なデータベースとのリンクや、石油物理学用の共通のソフトウェアパッケージを開発する予定です。
投資対効果(ROI)
Skelt氏によると、彼はPV-WAVEのおかげで石油物理学者になじみのある出力が生成できたと言います。カラー出力は従来のプロット図とそっくりでありながら、しかもインタラクティブな機能を持ち、ユーザーは解析を試みたり、異常データを除外することができます。「従来の単色折れ線グラフは、ユーザーとインタラクトすることができませんでした。PV-WAVEを使うことでグラフが生きたものとなり、色を追加したり、インタラクティブな操作で異常データを除外することが可能です。あるいは、ユーザーに代わってたんにシステムを始動させるということもできます」
PV-WAVEの機能性は上に述べたとおりなので、そのコアとなるアルゴリズムはきわめて短いものです。根本的な問題は、それがあくまで方程式の線形集合だということです。PV-WAVEは複数の解を計算して表示します。Skelt氏のシステムでは、石油物理学の知識を活用して、最も可能性の高い解を一つだけ導くことができます。